温度計 種類
温度計の種類と使い分け——中心温度計・放射温度計・油温計の違い

結論から:3段階ピック
迷ったらここだけ読めばOK。詳しい比較は本文で解説します。
計量機器専業の佐藤計量器製作所によるHACCP対応の防水中心温度計「SK-270WP」シリーズ。指示計はIP67に準拠し丸洗いでき、生肉を扱うたびに洗浄しながら中心温度を厳密に確認したい人向けの一台です。中心温度計は種類の中でも最も汎用性が高く、まず1本選ぶならこのタイプが基本になります。
測定範囲-50〜240℃、ホールド機能付きのタニタの定番スティック温度計。パンの発酵温度から肉の中心温度まで、家庭で必要な温度帯を1本でまかないやすく、中心温度計というタイプを気軽に導入したい人にまず薦めたい選択肢です。
| 種類 | 測定するもの | 接触/非接触 | 主な用途 | 家庭での位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| 中心温度計(プローブ式) | 食材の中心部の温度 | 接触(差し込む) | 肉・ハンバーグの加熱確認、パン生地の温度 | まず1本目に選びたい基本の種類 |
| 放射温度計(赤外線・非接触) | 対象の表面温度 | 非接触(かざす) | フライパンや鉄板の予熱、表面温度の確認 | あると便利だが用途は限定的 |
| 油温計(天ぷら温度計) | 揚げ油など液体の温度 | 接触(浸す・掛ける) | 揚げ物の油温管理 | 揚げ物をよくするなら。鍋一体型もある |
| オーブン温度計 | オーブンの庫内温度 | 非接触(庫内に置く) | 庫内の実温確認(主に製菓) | お菓子作りを本格的にするなら |
「温度計」とひとことで言っても、料理で使う温度計にはいくつかの種類があり、測れるものがそれぞれ違います。食材の中心に差し込むもの、かざして表面温度を測るもの、揚げ油に浸すもの、オーブンの庫内に置くもの——用途を取り違えると、せっかく数字を測っても知りたいことがわからない、ということが起こります。この記事では、プロの厨房で使われる料理用温度計を主に4つの種類に分け、それぞれが何を測る道具なのか、どう使い分けるのかを、厚生労働省の資料やメーカー公式の情報をもとに整理します。そのうえで、家庭ではどの種類からそろえればよいかまで示します。なお当サイトは自前の実機テストを行うメディアではなく、公開されている情報を家庭向けに再編集して紹介しています。
料理用温度計は主に4種類——まず全体像を押さえる
料理で使われる温度計は、測定の方式と測る対象で、大きく次の4種類に分けられます。
- 中心温度計(プローブ式):食材に差し込んで、中心部の温度を測る。
- 放射温度計(赤外線・非接触温度計):対象にかざして、表面の温度を測る。
- 油温計(天ぷら温度計):揚げ油などの液体の温度を測る。
- オーブン温度計:オーブンの庫内温度を測る。
このうち、家庭でまず1本そろえるなら中心温度計が基本になります。肉やハンバーグの加熱確認という最も安全に関わる用途を担え、揚げ油やパン生地の温度もおおむね測れるためです。以下では種類ごとに、何を測る道具なのかと家庭での使いどころを見ていきます。結論を先に示すと、中心温度計を基本の1本とし、揚げ物や製菓を本格的にやるなら油温計・オーブン温度計を足す、という順番が現実的です。
中心温度計(プローブ式)——最も汎用性が高い基本の種類
中心温度計は、細い金属のセンサー(プローブ)を食材に差し込み、中心部の温度を数字で表示するタイプです。プロの厨房では加熱調理の標準装備とされています。厚生労働省は食肉による食中毒を防ぐための加熱条件として、食材の中心部を75℃で1分間以上加熱することを基準としており、大量調理施設向けの衛生管理マニュアルでも、加熱調理食品は中心部温度計で中心が75℃・1分間以上(二枚貝等では85℃・1分間以上)に達したことを確認・記録することが求められています。見た目の焼き色や加熱時間だけでは中心まで火が通ったか判断しにくいため、中心温度計で数字を確認するわけです。
家庭でも、鶏肉のカンピロバクター対策、ひき肉料理の中心までの加熱確認、ローストビーフの温度管理など、中心温度計が効く場面は多くあります。防水でHACCP機能を備えた業務用タイプの代表が、計量機器専業メーカー・佐藤計量器製作所の「SK-270WP」シリーズです。標準センサ付きモデルは測定範囲-40.0〜250.0℃、指示計はIP67に準拠して丸洗いでき、設定温度を超えると自動でタイマーが作動する機能をメーカー公式に搭載しています。
家庭で気軽に使うなら、生活家電・生活雑貨メーカーのスティック温度計が扱いやすい選択肢です。タニタの「TT-583」は測定範囲-50〜240℃、最小表示0.1℃で、測った温度を固定して表示できるホールド機能を備えます(メーカー公式仕様より)。パンの発酵温度から肉の中心温度まで、家庭で必要になる温度帯を1本でおおむねカバーできます。
まずは「温度を測る」という習慣そのものをつけたい場合は、入門的なモデルから始めても役割は果たせます。ドリテックの折りたたみ式クッキング温度計は測定範囲-50.0〜300.0℃で、防水性能はメーカー公式に記載がないものの、食材に刺して中心温度を確認する基本機能は備えています(メーカー公式仕様より)。中心温度計というタイプの選び方をさらに詳しく知りたい場合は、料理用温度計は家庭でこそ効く——中心温度計の選び方で3機種を比較しています。
放射温度計(赤外線・非接触温度計)——表面温度を素早く測る
放射温度計は、対象が放つ赤外線の量から温度を算出する非接触タイプの温度計です。対象にかざすだけで表面温度がわかるため、フライパンや鉄板を予熱したときの温度確認や、冷蔵・冷凍庫内やショーケースの表面温度チェックなど、素早く広い範囲の表面温度を知りたい場面で使われます。プロの現場では、食材を受け入れる際の検品で表面温度を測る、といった衛生管理の用途にも使われています。
注意したいのは、放射温度計で測れるのはあくまで表面の温度であり、食材の中心温度は測れないという点です。肉やハンバーグの中まで火が通ったかどうかは、表面温度では判断できません。また、光沢のある金属面などは放射率(物体が赤外線を放つ度合い。素材によって異なります)の関係で誤差が出やすいとされます。表面温度を素早く知りたいとき専用の種類、という位置づけで、中心温度の確認には引き続き差し込むタイプの中心温度計が必要です。
写真はイメージです
油温計(天ぷら温度計)——揚げ油の温度に特化した種類
油温計は、揚げ油など液体の温度を測ることに特化した種類です。鍋のふちに掛けて固定できるクリップ式や、目盛りを針で示すアナログのバイメタル式(2種類の金属を貼り合わせ、温度差で反り方が変わる性質を使った方式)が代表的で、揚げ物向けに200℃前後まで測れる測定範囲を持つものが一般的です。揚げ油の温度は、一般的な目安として低温(150〜160℃)は厚みのある食材をじっくり、中温(170〜180℃)は唐揚げやフライ・天ぷら、高温(185〜190℃)は仕上げの二度揚げ、と使い分けるとされています。
デジタルの中心温度計でも、測定範囲が200℃を超えるものなら油に浸して油温を測れます。ただし揚げ物の最中はプローブを持ち続ける必要があり、鍋に固定できる油温計のほうが手が空いて扱いやすい場面もあります。揚げ物をよくする家庭なら、温度計が一体になった天ぷら鍋を選ぶと、鍋と油温計を別々に用意する手間が省けます。
写真はイメージです
揚げ油の温度管理は、油温計という道具だけでなく、油の量を安定させて温度が下がりにくい鍋を選ぶことも大切です。鍋の素材・深さの観点からの選び方は、天ぷら鍋はプロの揚げ物道具から選ぶ——素材・深さ・温度管理で整理しています。
オーブン温度計——庫内の実温を確かめる種類
オーブン温度計は、オーブンの庫内に置いて、実際の庫内温度を測るための種類です。ダイヤルで温度を示すバイメタル式が一般的で、庫内の網や天板の上に置いて使います。家庭用オーブンは、設定した温度と実際の庫内温度がずれることがあるとされ、特に庫内温度が仕上がりを左右する焼き菓子などで、「設定どおりに焼けない」と感じる場合に、実際の温度を確認する用途で使われます。日常の料理では優先度は高くありませんが、お菓子作りを本格的にする場合にそろえたい種類です。
家庭ではどの種類からそろえるか
種類ごとの役割を踏まえると、家庭でそろえる順番は次のように考えると迷いにくくなります。まず1本目は、安全に直結する中心温度計。揚げ物をよくするなら油温計(または温度計付き天ぷら鍋)、お菓子作りを本格的にするならオーブン温度計、フライパンの予熱を数字で管理したくなったら放射温度計、という順で必要に応じて足していく形です。
その1本目の中心温度計を、使い方の頻度と予算で3段階に整理すると、次のようになります。生肉を扱うたびに丸洗いしながら厳密に管理したいなら、HACCP対応で防水の佐藤計量器SK-270WP。
毎日の料理で気軽に中心温度を確認したいなら、ホールド機能付きで温度帯の広いタニタTT-583。
まずは温度を測る習慣をつけたいなら、入門的なドリテックのモデル。
まとめ:種類は「何を測るか」で選ぶ
料理用温度計は、中心温度計・放射温度計・油温計・オーブン温度計と種類があり、それぞれ「食材の中心」「表面」「油」「庫内」と測る対象が違います。種類を取り違えると知りたい温度が測れないため、まずは自分が確認したいのが何の温度なのかで選ぶのが基本です。家庭では、安全に直結する中心温度計を1本目とし、揚げ物や製菓など用途が増えたら油温計・オーブン温度計を足していくと、無駄なくそろえられます。中心温度計そのものの機種選びは料理用温度計は家庭でこそ効く——中心温度計の選び方、揚げ油の温度を支える鍋は天ぷら鍋はプロの揚げ物道具から選ぶで、それぞれ掘り下げています。
なお、本記事に記載した仕様・価格・加熱の目安は、2026年7月時点で各メーカー公式サイト・取扱店・行政資料をもとに確認した一般的な情報です。価格は在庫状況や販売店によって変動するため、購入前に商品ページで最新の情報をご確認ください。また、食品の加熱基準は食中毒予防のための一般的な目安であり、食材の状態や個人の体調によって安全性は変わり得ます。不安な場合は、より高めの中心温度・長めの加熱時間を心がけてください。
よくある質問
温度計を1本だけ選ぶなら、どの種類がよいですか?
中心温度計(食材に差し込むプローブ式のデジタル温度計)が最も汎用的です。厚生労働省は食肉による食中毒を防ぐ加熱条件として中心部を75℃で1分間以上加熱することを基準としており、この中心温度を確認できるのが中心温度計です。肉の加熱確認だけでなく、揚げ油の温度やパン生地の温度もおおむね測れるため、まず1本ならこの種類が基本になります。中心温度計そのものの選び方は[料理用温度計は家庭でこそ効く——中心温度計の選び方](/guide/thermometer/)で詳しく整理しています。
放射温度計(非接触温度計)で肉の中心温度は測れますか?
測れません。放射温度計は対象が放つ赤外線の量から温度を算出する仕組みで、測れるのはあくまで表面の温度です。肉やハンバーグの中心まで火が通ったかどうかは表面温度では判断できないため、加熱の確認には食材に差し込む中心温度計を使う必要があります。放射温度計は、フライパンや鉄板を予熱したときの表面温度を確認するといった、表面の温度を素早く知りたい場面に向いた種類です。
揚げ油の温度は中心温度計でも測れますか?
多くのデジタル中心温度計は測定範囲が200℃を超えるため、油に浸せば油温の確認自体はできます。ただし揚げ物の最中はプローブを持ち続ける必要があり、鍋のふちに掛けて固定できる油温計(天ぷら温度計)や、温度計が一体になった天ぷら鍋のほうが扱いやすい場面もあります。揚げ油を安定させる鍋そのものの選び方は[天ぷら鍋はプロの揚げ物道具から選ぶ——素材・深さ・温度管理](/guide/tempura-nabe/)で整理しています。
家庭用オーブンにオーブン温度計は必要ですか?
お菓子作りを本格的にする場合はあると役立ちます。家庭用オーブンは、設定した温度と実際の庫内温度がずれることがあるとされ、庫内に温度計を置いて実際の温度を確認するために使うのがオーブン温度計です。庫内の温度が仕上がりを左右する焼き菓子などで、設定どおりに焼けないと感じる場合の確認に向いた種類です。