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料理用温度計

料理用温度計は家庭でこそ効く——中心温度計の選び方

公開日: 2026年7月14日更新日: 2026年7月14日
ステンレスボウルの食材に温度計を差し込む様子(イメージ)

結論から:3段階ピック

迷ったらここだけ読めばOK。詳しい比較は本文で解説します。

一生モノ

佐藤計量器(SK Sato)防水デジタル温度計

型番: SK-270WP(標準センサ付セット)

実勢は購入前に要確認(HACCP現場の定番メーカー)

計量機器メーカー・佐藤計量器製作所のHACCP対応防水温度計「SK-270WP」シリーズ。指示計はIP67に準拠し丸洗いでき、生肉を扱うたびにしっかり洗浄したい人、中心温度を本格的に確認・管理したい人向けの一台です。

まずはこれ

タニタ スティック温度計 TT-583

型番: TT-583

実勢は購入前に要確認

測定範囲-50〜240℃、ホールド機能付きのタニタの定番スティック温度計。パンの発酵温度から肉料理の中心温度確認まで、家庭のさまざまな場面を1本でまかないたい人にまず薦めたい選択肢です。

予算重視

ドリテック クッキング温度計(入門)

型番: O-903(折りたたみ式)ほか現行モデル

実勢1,000円台目安(購入前に要確認)

実勢1,000円台の入門モデル。防水性能はありませんが、揚げ物や肉料理の中心温度をまず数字で確認する習慣をつけたい人に向いています。

料理用温度計3機種の比較(測定範囲・防水性能・応答の目安・実勢価格帯)
項目佐藤計量器 SK-270WPタニタ TT-583ドリテック O-903
メーカー区分計量機器専業メーカー(HACCP対応・業務用)計量機器メーカー(生活家電)生活雑貨メーカー
測定範囲-40.0〜250.0℃(標準センサ使用時。メーカー公式)-50〜240℃(メーカー公式)-50.0〜300.0℃(メーカー公式)
防水性能指示計IP67・センサIPX7に準拠、丸洗い可(メーカー公式)防滴IPX2相当(メーカー公式)記載なし(防水非対応)
応答の目安表示サンプリング約0.5〜1秒(メーカー公式)表示更新1秒ごと(メーカー公式)メーカー公式に応答時間の記載なし
実勢価格帯目安標準センサ付もので2万円前後〜24,000円程度(税込。要確認)1,500円前後〜2,000円弱(税込。要確認)1,000円台前半(要確認)
向く用途HACCP管理さながらに中心温度を厳密に確認・記録したい人向け毎日の料理で中心温度を気軽に確認したい人向けまずは中心温度計という道具を試したい人向け

料理用温度計、なかでも食材の中心部に挿して測る「中心温度計」は、プロの厨房では加熱調理の基本装備ですが、家庭ではまだ持っている人が少ない道具です。多くの家庭では、加熱時間や焼き色といった目安だけで「火が通った」と判断しています。この記事では、厚生労働省の資料をもとにプロの現場で中心温度計が必須とされている理由を確認したうえで、鶏肉・ハンバーグ・ローストビーフ・揚げ油・パンの発酵という、家庭の料理で中心温度計が実際に効く場面を整理します。そのうえで、佐藤計量器・タニタ・ドリテックという3社の実際の製品仕様を比較しながら、料理用温度計選びの結論を示します。

プロの現場ではなぜ中心温度計が欠かせないのか

厚生労働省は、食肉による食中毒を防ぐための加熱条件として、食材の中心部を75℃で1分間以上加熱することを基準としています。同省が公開している「食肉の加熱条件に関するQ&A」では、この「75℃・1分」と同等の加熱殺菌条件として「70℃・3分」「69℃・4分」「68℃・5分」「67℃・8分」「66℃・11分」「65℃・15分」という組み合わせも妥当とされており、加熱温度が下がるほど必要な加熱時間は長くなるという関係が示されています。

大量調理施設向けの衛生管理マニュアルでも、加熱調理食品は中心部温度計を用いて中心部が75℃で1分間以上(ノロウイルス汚染のおそれがある二枚貝等の場合は85℃で1分間以上)に達したことを確認し、温度と時間を記録することが求められています。プロの厨房で中心温度計が標準装備になっているのは、見た目の焼き色や加熱時間の長さだけでは、食材の中心まで確実に火が通ったかどうかを判断できないためです。

佐藤計量器(SK Sato)防水デジタル温度計

型番: SK-270WP(標準センサ付セット)

実勢は購入前に要確認(HACCP現場の定番メーカー)

HACCP(原材料の入荷から出荷までの工程ごとに危害要因を管理する衛生管理の手法)に対応した現場では、中心温度を測るだけでなく、あらかじめ決めた基準温度を超えてからの経過時間を自動で計測できる温度計も使われています。佐藤計量器製作所の「SK-270WP」シリーズは、こうした業務用の中心温度計の代表例で、設定温度を超えると自動でタイマーが作動する機能をメーカー公式に搭載しています。家庭の調理でここまでの管理は必要ありませんが、「中心温度を測ってから、必要な時間キープする」という考え方自体は、家庭のローストビーフや厚みのある肉料理にもそのまま応用できます。

家庭の料理で中心温度計が効く場面

溶かしたチョコレートの温度を計る様子 写真はイメージです

鶏肉はカンピロバクターという細菌による食中毒の原因になりやすい食材です。農林水産省は、鶏肉料理について「お肉の中心部までよく加熱(中心の温度が75℃以上で1分間以上)し、中心が白くなるまでが目安」と案内しています。ただし「白くなるまで」という目視の判断は肉の厚みや調理器具によってばらつきが出やすく、鶏むね肉や骨付きもも肉のように厚みのある部位ほど、外側は白くても中心部だけ生焼けになっているケースが起こり得ます。中心温度計を厚みのある部分にまっすぐ刺して75℃に達しているかを確認すれば、目視だけに頼るより確実です。

ハンバーグ・つくねなどのひき肉料理も、家庭で中心温度計が効く場面です。厚生労働省の資料によれば、ハンバーグは挽肉から作るため、動物の種類に関わらず、挽肉に付着した病原体が中心部まで入り込んでしまうとされています。ブロック肉であれば表面を加熱すれば内部は菌の少ない状態を保ちやすいのに対し、ひき肉は成形の過程で表面の菌が内部にも混ざり込むため、ステーキのように表面だけ焼いて中心をレアに仕上げるという考え方は通用しません。同資料は、外側が焼けていても中は生焼けになっていることがあるとして、フライパンにふたをして中火で中心部までじっくり火を通すことを勧めています。ハンバーグの中心に温度計を刺し、75℃以上を確認できれば、切って肉汁の色を見るよりも確実に仕上がりを判断できます。

タニタ スティック温度計 TT-583

型番: TT-583

実勢は購入前に要確認

ローストビーフや厚切りステーキのように中心をレアからミディアムに仕上げたい料理は、家庭で中心温度計が最も効く場面のひとつです。令和4年には、飲食店で提供されたローストビーフやレアステーキが原因とみられる腸管出血性大腸菌の食中毒が発生し、厚生労働省が食肉の加熱調理の徹底を改めて呼びかける通知を出しています。前述の「75℃・1分」と同等の加熱条件の一覧が示すとおり、加熱温度を下げるほど必要な加熱時間は長くなるため、中心温度計で「一瞬75℃に達したかどうか」だけを確認しても、それより低い温度で仕上げる場合の安全性までは判断できません。家庭でローストビーフをレアに近い状態で仕上げたい場合は、温度計で中心温度を確認しつつ、信頼できるレシピが示す加熱時間もあわせて守ることが大切です。不安であれば、中心温度をより高めに設定して十分に加熱するほうが安全です。

揚げ物は油の温度管理が重視されがちですが、油の温度と食材の中心温度は別ものです。一般的な目安として、低温(150〜160℃)は厚みのある肉やじゃがいもをじっくり中まで火を通すとき、中温(170〜180℃)は唐揚げやフライ・天ぷらなど中まで火を通しながら外側を色よく仕上げるとき、高温(185〜190℃)は仕上げの二度揚げに向くとされています。ただし、油の温度が適切でも、鶏もも肉の唐揚げのように厚みのある食材は中心まで火が通っていないことがあります。中心温度計を使えば、油から引き上げた食材そのものの中心温度を確認でき、揚げ時間だけに頼らない判断ができます。

パン作りで中心温度計が活きるのは、食中毒予防とは違う場面です。パン生地は捏ね上げ直後の温度(捏ね上げ温度)が26〜28℃程度になるようにするレシピが多く、イーストが活動しやすい温度帯は28〜35℃程度とされています。捏ね上げ温度が高すぎたり低すぎたりすると発酵の進み方がレシピの想定とずれてしまうため、仕込み水の温度を調整する際に、温度計で生地温度を確認する使い方があります。また、焼き上がりの確認にも温度計は使えます。パン生地は中心温度がおおむね90℃以上、卵や油脂を多く含むリッチな生地では96℃前後まで達すればデンプンの糊化(アルファ化。デンプンが水と熱で消化しやすい状態に変化すること)が進んで火が通った状態と判断されており、切らずに焼け具合を確認したいときに役立ちます。

ドリテック クッキング温度計(入門)

型番: O-903(折りたたみ式)ほか現行モデル

実勢1,000円台目安(購入前に要確認)

料理用温度計3機種を比較する

ここからは、3段階ピックとして挙げた3機種の仕様を、メーカー公式の情報をもとに比較します。同じ「料理用温度計」でも、HACCP対応の業務用モデルと、家庭向けの生活家電・生活雑貨メーカーのモデルとでは、測定範囲・防水性能・価格のバランスが大きく異なります。

佐藤計量器SK-270WPは丸洗いできる業務用モデル

佐藤計量器製作所は温度計・湿度計を専業とする計量機器メーカーで、食品工場や厨房施設向けに「防水型デジタル温度計 SK-270WP」シリーズを展開しています。標準センサ付きモデルのメーカー公式仕様によれば、測定範囲は-40.0〜250.0℃、最小表示は0.1℃、指示計はJIS規格のIP67に準拠しており、センサを接続した状態で流水による丸洗いが可能です。あらかじめ設定した温度(初期値は75℃・90℃・100℃の3パターン)を超えると自動でタイマーが作動するHACCP機能も搭載しています。標準センサ付きの製品は、佐藤計量器公式オンラインショップの価格で2万円前後〜24,000円程度(税込、品番による)と、家庭用としては高めの価格帯です。

佐藤計量器(SK Sato)防水デジタル温度計

型番: SK-270WP(標準センサ付セット)

実勢は購入前に要確認(HACCP現場の定番メーカー)

タニタTT-583はホールド機能付きの定番スティック温度計

タニタの「TT-583」は、測定範囲-50〜240℃、最小表示0.1℃、表示は1秒ごとに更新されるデジタルスティック温度計です(メーカー公式仕様より)。精度は0〜100℃の範囲で±1℃、それ以外の範囲で±2℃とされています。防水性能は防滴のIPX2相当で、SK-270WPのような丸洗いはできませんが、測った温度を固定して表示できるホールド機能を備えており、鍋から取り出したあとに数値を落ち着いて確認できます。本体にはマグネットとフックが付いており、キッチンに吊るして収納できる点も日常使いに向いています。価格は1,500円前後からで、家庭用として気軽に導入しやすいモデルです。

タニタ スティック温度計 TT-583

型番: TT-583

実勢は購入前に要確認

ドリテックO-903はまず1本試したい人向けの入門モデル

ドリテックの「折りたためるクッキング温度計 O-903」は、測定範囲-50.0〜300.0℃、最小表示0.1℃というデジタル温度計です(メーカー公式仕様より)。使用時のサイズは約W31×D18×H235mmで、検温部を折りたたむと約H135mmまで小さくなり、収納しやすい構造になっています。ホールド機能を備える一方、防水性能についてはメーカー公式に記載がなく、SK-270WPやTT-583のような防滴・防水仕様ではありません。実勢価格は1,000円台前半からで、3機種の中では最も手に取りやすい価格帯です。まずは中心温度計という道具そのものを試してみたい人に向いた入門モデルといえます。

ドリテック クッキング温度計(入門)

型番: O-903(折りたたみ式)ほか現行モデル

実勢1,000円台目安(購入前に要確認)

温度計の使い方の基本——中心に刺して、使うたびに洗う

料理用温度計を使うときの基本は、食材のもっとも厚みのある部分の中心に、センサーの先端がまっすぐ届くように刺すことです。骨付き肉の場合は骨に先端が触れると低い温度を示すことがあるため、骨を避けて中心に刺します。ハンバーグのような薄い食材では、横から中心に向かって刺すときれいに測れます。厚生労働省の資料でも、加熱調理食品は中心部温度計を用いて中心部の温度を確認することが基本とされており、家庭でも同じ考え方で使うのが安全です。

もうひとつ大切なのが、使うたびに洗浄することです。厚生労働省は、お肉を焼く際に使う箸やトングには生の肉から病原体が付いてしまうため、生肉用と食べる用で使い分け、使用後は洗浄することを呼びかけています。温度計のセンサー部分も、生の肉や魚に直接触れる道具である以上、同じ考え方が当てはまります。SK-270WPのように指示計ごと丸洗いできるモデルであれば流水で洗浄できますが、TT-583やO-903のように防水性能が限定的なモデルは、センサー部分をアルコールで拭き取るなど、本体を濡らさない方法で清潔を保つ必要があります。

「温度計を使えば誰でも再現できる」という実感の声もあります。

低温調理での温度計の効果を語る投稿(Xより)

まとめ:料理用温度計は「勘」を「数字」に変える道具

料理用温度計、特に中心温度計は、プロの厨房では「中心部を75℃で1分間以上」という厚生労働省の基準を確認するための標準装備です。家庭では同じ厳密さまでは必要ありませんが、鶏肉のカンピロバクター対策、ひき肉料理の中心部までの加熱、ローストビーフの温度と時間の管理、揚げ物の中心温度確認、パン生地の温度管理と焼き上がりの確認と、「色」や「時間」だけに頼っていた場面の多くを、中心温度計は数字で裏付けてくれます。

3段階ピックとしては、HACCP管理さながらに中心温度を厳密に確認・管理したいなら計量機器メーカー佐藤計量器製作所の業務用モデル、毎日の料理で気軽に中心温度を確認したいならホールド機能付きのタニタTT-583、まずは中心温度計という道具を試したいならドリテックの入門モデルが、それぞれの結論です。

佐藤計量器(SK Sato)防水デジタル温度計

型番: SK-270WP(標準センサ付セット)

実勢は購入前に要確認(HACCP現場の定番メーカー)

タニタ スティック温度計 TT-583

型番: TT-583

実勢は購入前に要確認

ドリテック クッキング温度計(入門)

型番: O-903(折りたたみ式)ほか現行モデル

実勢1,000円台目安(購入前に要確認)

なお、本記事で紹介した仕様・価格は2026年7月時点でメーカー公式サイト・主要な通販サイトで確認した情報にもとづく目安です。価格は販売店やセール時期によって変動するため、購入の直前に商品ページで最新の情報をご確認ください。また、食品の加熱基準は食中毒予防のための一般的な目安であり、食材の状態や個人の体調によって安全性は変わり得ます。不安な場合は、より高めの中心温度・長めの加熱時間を心がけてください。

よくある質問

「中心温度75℃・1分間」という加熱基準はどこから来ていますか?

厚生労働省が示している、食肉による食中毒を防ぐための加熱条件です。同省が公開している「食肉の加熱条件に関するQ&A」では、これと同等の加熱殺菌条件として「70℃・3分」「69℃・4分」「68℃・5分」「67℃・8分」「66℃・11分」「65℃・15分」という組み合わせも妥当とされています。加熱温度を下げる場合は、その分だけ加熱時間を長くする必要があるという考え方です。

1,000円台の入門モデルでも、中心温度計としての役割は十分に果たせますか?

十分に果たせます。ドリテックの入門モデルのように防水性能がないモデルでも、食材に刺して中心の温度を数値で確認できるという基本機能は備わっています。HACCP機能や丸洗いできる防水性能が必要になるのは、業務用に近い頻度で使う場合や、生肉を扱うたびに本体ごと洗浄したい場合です。まずは家庭で「中心温度を測る」という習慣をつけたいのであれば、入門モデルから始めても問題ありません。

ローストビーフをレアに仕上げたいとき、中心温度計だけで安全を確認できますか?

温度計だけでは確認できません。厚生労働省が示す「75℃・1分」と同等の加熱条件は、温度が下がるほど必要な加熱時間が長くなるという関係で示されています。中心温度計はその瞬間の温度しか測れないため、低めの温度で仕上げる場合は、温度に加えて必要な加熱時間を守ることが欠かせません。令和4年には飲食店のローストビーフが原因とみられる食中毒も発生しており、家庭で安全性に不安がある場合は、中心温度をより高めに設定して十分に加熱することをおすすめします。

料理用温度計はどこに刺せばいいですか?

食材のもっとも厚みのある部分の中心に、センサーの先端がまっすぐ届くように刺します。骨付き肉は骨に先端が触れると低い温度を示すことがあるため、骨を避けて刺します。ハンバーグのように薄い食材は、横から中心に向かって刺すと正確に測りやすくなります。

温度計のセンサー部分は洗った方がいいですか?

洗う、または清潔にすることをおすすめします。厚生労働省は、生の肉を扱った箸やトングには病原体が付着するため、使用後の洗浄や、生肉用と食べる用での使い分けを呼びかけています。温度計のセンサーも生の肉や魚に直接触れる道具のため、同じ考え方が当てはまります。佐藤計量器のSK-270WPのように指示計ごと丸洗いできるモデルは流水で、タニタTT-583やドリテックの入門モデルのように防水性能が限定的なモデルは、アルコールで拭き取るなど本体を濡らさない方法で清潔を保ちましょう。

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